ケネディの FDA 希望リスト: 生乳、幹細胞、重金属

2024/11/13

ロバート・F・ケネディ・ジュニア上院議員はここ数週間、食品医薬品局に対する攻撃をひるむことなく続けており、時には人々に害を及ぼしたり、医療慣行の限界を超えたりする治療法に対して措置を講じた同局の専門家を解雇したいと述べている。

ケネディ氏がドナルド・トランプ次期大統領の次期政権でどの程度の影響力を持つかは不明だが、同氏が複数の連邦保健機関の政策を司るホワイトハウスの責任者になるかもしれないと示唆する声もある。トランプ氏はここ数週間、ケネディ氏への支持を表明し、「健康問題に全力で取り組む」ことを許すと語っている。就任演説でも、トランプ氏はケネディ氏の健康問題への関与への支持を改めて表明した。

ケネディ氏の優先事項の中には、超加工食品に関連する健康への影響に焦点を当てるなど、比較的標準的なものもある。しかし、不適切な医療行為を抑制したり、公衆衛生を損なう可能性のある製品について警告したりする FDA の権限を損なう恐れのあるものもある。

ケネディ氏の広報担当者はインタビューの要請に応じなかった。

選挙の数日前、 640万回閲覧されたXの投稿で、ケネディ氏は「公衆衛生に対する戦争」を仕掛けてきたFDA職員を解雇すると脅した。同氏は、FDAが「積極的な抑圧」を行ったと主張する製品として、イベルメクチン、生乳、ビタミンのほか、幹細胞や高圧酸素療法などを挙げた。

彼が特に指摘したいくつかの項目は、コロナウイルスのパンデミック中に保守派有権者の間で論争の的となっていたもので、その中にはコロナウイルスに対する治療効果がないと判明したイベルメクチンも含まれていた。

ここでは、そのいくつかと当局が講じた措置について見ていきます。

生乳

FDAと疾病管理予防センターによると、生乳を飲むことは常に危険である。腎不全や死を引き起こす可能性のある大腸菌株を含む、多くの細菌による病気の発生と定期的に関連している。

ジョンズ・ホプキンス大学で動物と人間に影響を及ぼす感染症を研究する准教授、メーガン・デイビス氏は、乳牛の間での鳥インフルエンザの発生は公衆衛生へのリスクを高めていると述べた。米国農務省のデータによると、3月に最初に発生が確認されて以来、H5N1として知られるこのウイルスは15州で約500の群れに広がっている。生乳には高濃度のウイルスが含まれており、人にも感染する可能性がある。

FDAと農務省による最近の研究では、低温殺菌によってウイルスが効果的に不活性化されることが判明した。

アメリカ公衆衛生協会事務局長ジョージ・C・ベンジャミン博士は、鳥インフルエンザ流行の最中に生乳の消費を奨励したり、生乳の危険性についてFDAが警告するのを黙らせたりするのは「おそらく悪い考えだ」と語った。

ベンジャミン博士は、「生乳を飲む子供たちの間で最初の細菌感染が発生し、生乳を飲むように勧めたせいで誰かが亡くなるまでは、そうしても問題ないだろう」と語った。

今回の流行では、牛乳にH5N1型ウイルスが含まれているか検査する検査法はなく、すべての牛に症状が出ているわけではない。また、牛乳は多くの牛から集められることが多いため、1頭の牛が病気になれば汚染につながる。

生乳の支持者は、生乳には低温殺菌牛乳よりも有益な酵素や多様なプロバイオティクスが含まれており、生乳の摂取は喘息やアレルギーの発生率の低下と関連していると主張している。

誰が生乳を販売できるかを決めるのは FDA ではなく、各州だ。しかし 1980 年代以降、FDA は生乳の消費が許可されている 30 州から生乳が出荷されないよう徹底してきた。出荷規制に反対する議員たちは、生乳が合法である州間での販売を許可する法案を議会に提出しようと何年も努力してきた。

デイビス博士は、生乳の消費量が増えるとH5N1型ウイルスが適応しやすくなり、人の間でより重症化したり感染しやすくなったりするのではないかと懸念していると述べた。CDCは木曜日、農場労働者の中にはこのウイルス株に対する抗体を持っているが、感染に気づいていない者もいるという研究結果を発表した。

「これはパンデミックを引き起こす可能性のあるウイルスだ」とデイビス博士は語った。

ヒドロキシクロロキン

パンデミックの初期、トランプ大統領の圧力を受け、FDAはマラリア治療薬ヒドロキシクロロキンの緊急使用許可を出した。FDAは2020年3月、この薬がコロナウイルスの増殖を防ぐことが研究室で示され、服用した患者の一部が症状の改善を報告したと指摘した。

この認可は長くは続かなかった。FDAは6月15日、821人を対象とした調査で効果がないことがわかったため、認可を取り消した。この薬には心臓の電気的活動を妨害するなど、深刻な副作用もあった。FDAは、潜在的な利点がリスクを上回らないと結論付けた。

FDAはそうすることで危機の時に柔軟性を示し、重要な情報が明らかになると撤退したと、バイデン前大統領の新型コロナ対策顧問で、ブラウン大学公衆衛生学部の学部長でもあるアシシュ・ジャー博士は述べた。

「それはまさに政府機関に望んでいることだ」と彼は語った。

さらに研究を進めると、ヒドロキシクロロキンは新型コロナウイルスに効かないことも判明し、大規模な分析では、ヒドロキシクロロキンを服用した人は死亡リスクが上昇したことが判明した。

キレート化

ケネディ氏は、重金属への曝露後に血液から重金属を除去する治療法として認められているが、自閉症の治療には認められていないキレート療法の潜在的な利点を宣伝してきた経歴がある。

ケネディ氏が設立した非営利団体「チルドレンズ・ヘルス・ディフェンス」が投稿したブログ記事は、「自閉症の多くの症例」は実際には一部のワクチンに含まれる防腐剤による水銀中毒の症例であると主張している。2000年に書かれ、2017年に投稿されたというこの投稿では、キレート剤（体内の有毒金属を除去する化学物質）が自閉症の潜在的な治療薬として期待されていると述べている。ケネディ氏が編集し、ワクチンと自閉症に関する広く否定された理論に焦点を当てた2015年の本では、少数の小規模な研究から「キレート剤のメリットの証拠」が指摘されている。

コロラド大学医学部の毒物学者ジェフリー・ブレント博士は、医師は鉛中毒などの一部の症状の治療にキレート剤を使用していると述べた。しかし、同博士は「正当な医師」がキレート剤が自閉症の適切な治療であると信じているかどうかは疑わしいと述べた。

キレート療法も危険である。2005年、ペンシルベニア州西部の医師が5歳の男の子の自閉症をキレート療法で治療しようとしたところ、男の子が心停止で死亡した。

「これは大きな問題であり、それを推し進めようとする人々がいる」とブレント博士は語った。「彼らは今、勇気づけられていると感じているに違いない」

しかし、いくつかの企業は、自閉症の治療など、FDAに承認されていないさまざまな用途でキレート剤と称する製品を販売しており、FDAは2010年にこれらの組織に警告書を送付した。

ケネディ氏は、血液検査で水銀濃度が高かったことが判明した後、自らキレート療法を受けた。同氏は、水銀濃度が高いのは、水銀を含むことで知られるマグロを好んで食べるためだと考えている。

幹細胞

近年、幹細胞治療は医療分野で注目を集めている。研究では、1型糖尿病や黄斑変性症の治療に有望性があることが示されている。最近承認された治療法の1つは、鎌状赤血球症に対する遺伝子編集と幹細胞治療を組み合わせたものである。しかし、革命的な治療への期待が高まる中、悪徳クリニックは、FDAに承認されていない治療法をさまざまな病気に対して宣伝している。

ケネディ氏のXへの投稿の文脈から判断すると、同氏はFDAが取り締まりの対象としていた幹細胞クリニックに言及していたようだ、とカリフォルニア大学デービス校で細胞生物学と人体解剖学の教授を務め、疑わしい幹細胞治療を追跡しているポール・ノープラー氏は述べた。

トランプ大統領が最初の任期中にFDAのトップに任命したスコット・ゴットリーブ博士は2017年に、この分野の進歩の「臨床的期待に便乗した悪徳業者らが」「証明されていない、場合によっては危険なほど疑わしい製品」を販売していると述べ、問題を要約した。

「このような環境では、責任ある患者ケアを顧みず貪欲に駆り立てられた少数の選ばれた人々が、効果が実証されていない、明らかに違法で、多くの場合は高額な治療法を推進することができる。こうした治療法はほとんど希望を与えず、さらに悪いことに、弱い患者の健康と安全に重大なリスクをもたらす可能性がある」とゴットリーブ博士は声明で述べた。

2017年、スタンフォード大学の研究者らは、フロリダ州の幹細胞クリニックで眼科手術を受けた人々が、幹細胞注入が原因と思われる視力の大幅な低下を経験したと報告した。

翌年、FDAはカリフォルニア州とフロリダ州の幹細胞クリニックに対し、 2つの恒久的な差し止め命令を出したが、両クリニックは「法律、そしてさらに重要なことに、患者の安全を無視し続けている」とゴットリーブ博士は当時の声明で述べた。

両社はFDAを訴えたが、控訴裁判所で敗訴した。

米国第9巡回控訴裁判所の3人の判事からなる審理部は今年9月27日の判決でFDAの行動を支持し、FDAが悪質とみなした幹細胞提供業者を取り締まる権限を保護した2019年のフロリダ州判事の判決と一致した。

カリフォルニア州の訴訟では、判事らはFDAがそのような治療法を監督する権限を正しく行使したと結論付けた。

ノイプラー博士は、ケネディ氏が新政権に及ぼす潜在的な影響力を考えると、このようなケースでFDAの方針を変えることができるかもしれないと述べた。

Kennedy’s F.D.A.Wish List: Raw Milk, Stem Cells, Heavy Metals – DNyuz